ビジネスの世界では、成功するためにはポジティブ思考が重要だとよく言われています。
ポジティブ思考とは、厳しい受験や就職の失敗、失業、借金、失恋、離婚など、辛い経験があっても、それを笑い飛ばし、ポジティブな視点で物事を捉えることです。
実際にポジティブ思考があれば、心が折れずに何があっても乗り越えることができます。
すべてがうまくいく可能性を感じることもできます。
しかし、実際には、ポジティブ思考が逆にマイナスになることもあります。
これは、ポジティブ思考だけで解決できない問題や困難が存在するからです。
ポジティブ思考が広まっているのは、自己啓発本などで特に顕著です。
しかし、ビジネスの成功においてポジティブ思考は必ずしも必要ではありません。
もちろん、ネガティブ思考や打たれ弱さも避けるべきですが、現実的な思考や冷静な判断力も重要です。
ビジネスでは、問題解決や戦略的な考え方が求められます。
ポジティブ思考だけでは、困難な状況にうまく対処することができないこともあります。
ポジティブ思考が強すぎると、現実的な視点を失い、結果的に失敗することもあります。
したがって、ポジティブ思考は素晴らしいものですが、ビジネスの成功には必ずしも必要ではありません。
冷静な判断と現実的な視点も重要な要素です。
バランス感覚を持って、適切な思考スタイルを選択することが重要です。
そもそもポジティブ思考とは?
ポジティブ思考とは、起こったことを肯定的に解釈する考え方のことです。
たとえば、出張しようとしたときに台風で航空機が止まってしまうと、
「訪問時間に間に合わなくなる」
「スケジュールが狂ってしまう」
などと考えがちですよね。
しかし、ポジティブ思考では、
「仕事について考える時間が確保できた」
「空いた時間にビジネス書を読むことができる」
などと肯定的に考えるのです。
では、ポジティブ思考で考えることのメリットは何でしょうか。
ポジティブ思考のメリット
ポジティブ思考を持つことには、以下のようなメリットがあります。
1. ストレス軽減: ポジティブ思考は、ネガティブな出来事や状況を肯定的にとらえるため、ストレスを軽減する効果があります。
例えば、仕事での失敗や困難に直面した時、ポジティブ思考は挫折感を和らげ、前向きな解決策を見つけることができます。
2. モチベーション向上: ポジティブ思考は、自分自身や周囲の人々に対する自信や希望を高める効果があります。
成功体験を重視することで、モチベーションを向上させ、目標達成に向けた積極的な行動を促します。
3. 創造性の向上: ポジティブ思考は、良い方向への視点を広げるため、創造性を高めると言われています。
困難な状況に対しても、新たな解決策やアイデアを見つけることができるため、イノベーションや改善の機会を増やすことができます。
4. 積極的な人間関係の構築: ポジティブ思考は、他人に対する寛容さや思いやりを育む効果があります。
ポジティブな態度で接することで、周囲の人々とのコミュニケーションが円滑になり、積極的な人間関係を築くことができます。
5. 健康への良い影響: ポジティブ思考は、心身の健康にも良い影響を与えます。
ネガティブな感情やストレスを抱えることなく、より楽観的な状態になることで、免疫力の向上や心臓疾患やうつ病の予防につながると言われています。
以上のように、ポジティブ思考を持つことにはさまざまなメリットがあります。
といったとこでしょうか・・・
ポジティブ思考になるための具体的な方法とは?
ポジティブ思考のメリットについてご説明しましたが、おそらく先ほどのメリットを見て、ポジティブ思考に魅力を感じたかもしれません。
ポジティブ思考は非常に力強い考え方であり、日常生活で役立つことは確かです。
したがって、私は個人的にポジティブ思考を完全に否定するつもりはありません。
必要な部分をうまく取り入れて活用することが重要ですね。
そこで、ポジティブ思考になるための具体的な4つの方法をご紹介します。
・好きな場所や車を利用する
・自分自身を信じる
・レジリエンスを向上させる
言葉を変えてポジティブ思考になる方法
普段の言葉遣いを変えることが、ポジティブ思考になるための最も簡単な方法です。
ポジティブ思考の人は、基本的に前向きな言葉をよく使い、ネガティブ思考の人は後ろ向きな言葉を多く使います。
ですから、後ろ向きではなく前向きな言葉を意識的に使うようにしましょう。
たとえば、ビジネスが上手くいかない場合、ネガティブ思考の人は「嫌だ、最悪だ、死にたい、もう何も信用できない!」と言うかもしれませんが、ポジティブ思考の人は「死ぬわけじゃないし、次のチャンスがあるさ!また頑張っていこう!」と言うのです。
普段何気なく使っている言葉を変えることで、思考を切り替えていくことができるのです。
好きな場所や車を利用する
ポジティブな思考を持つためには、気分を高めるための手段が必要です。
私の場合は、気分を上げるために自分が好きな場所に行くことや、好きな車に乗ることが効果的です。
自分のお気に入りの場所に訪れたり、お気に入りの車でドライブすると、自然と元気が湧いてきます。
そのため、気分が沈んだり、元気がない時には、私はこの方法を取り入れてポジティブな思考に転換するようにしています。
具体的には、私は草津温泉でお気に入りの旅館に泊まったり、お気に入りの車でドライブすることで、新たなパワーを得ることができます。
自分自身を信じる
ポジティブ思考になるためには、自分自身を信じることが重要です。
ただし、自信を持つためには根拠を持つ必要があると思っている人も多いですが、実はそれは必ずしも必要ではありません。
自信は、自分で自分のことを信じると決めることで生まれるものなのです。
自信を持つためには、自分の経験や実績などの根拠があると良いと考えるかもしれませんが、それは単に一つの方法に過ぎません。
自信を持つために必要なのは、自分自身に対する信念です。
自信とは、自分が自分の能力や価値を信じることであり、自己肯定感を育むことです。
もちろん、経験や実績は自信をサポートする要素の一つとして重要です。
しかし、必ずしもそれだけに頼る必要はありません。
経験や実績がなくても、自分が成長し、成功すると信じることができれば、自信は持つことができるのです。
自信を持つためには、自分自身に対して積極的な思考を持つことも重要です。
否定的な考え方や自己評価を下げる言葉を使うのではなく、自分への称賛や励ましの言葉を使うことで自信を高めることができます。
自信を持つことは自分自身を愛し、自分の能力を信じることです。
レジリエンスを向上させる
ポジティブ思考になるためには、レジリエンスを向上させる必要があります ※太字 下線
レジリエンスとは、心の働きに関する心理学の概念であり、ストレスによってダメージを受けた後、回復する能力を指します。
つまり、レジリエンスが高まると、小さなことでも心がくじけることはなくなります。
それに加えて、物事の見方が常にポジティブになり、前向きに進むことができるようになります。
したがって、ポジティブ思考になりたいのであれば、レジリエンスの向上に意識を向ける必要があります。
ポジティブ思考だけではビジネスで成功できない理由
ビジネスにおいて成功するためには、単にポジティブ思考になるだけでは不十分なのです。
心理学的な研究によって、ポジティブ思考になるだけでは夢を実現することができないことが明らかにされています。
実際、ポジティブ思考になったとしても、成功することは保証されておらず、逆に失敗する可能性が高まることが示されています。
そのため、ポジティブ思考に過度に依存することは避けるべきです。
ポジティブ思考のデメリット
ポジティブ思考には、メリットだけでなく、
以下のようなデメリットがあります。
・人間関係やコミュニケーションに問題が生じる
・行動が伴わなくなる
思い込みも激しくなり、柔軟な思考ができなくなる
どのようなネガティブな現象が起こっても、私たちは頑張ってそのポジティブな側面を見ようとする傾向があります。
しかし、この考え方が極端になってしまうと、私たちは物事のネガティブな側面を完全に無視してしまいます。
つまり、ネガティブな要素を完全に排除し、意図的に見ないふりをしてしまうのです。
このような状況になると思い込みも激しくなり、柔軟な思考ができなくなる恐れがあります。
私たちは、ネガティブな側面を認めることで、より多角的な視点を持つことができます。
また、ネガティブな事象も含めて全体を見ることで、より現実的な判断や解決策を見つけることができます。
ネガティブな側面を切り捨てずに、オープンな心で物事を受け入れることが大切です。
私たちは、ネガティブな要素とポジティブな要素をバランスよく受け入れることで、より豊かな人生を送ることができるのです。
人間関係やコミュニケーションに問題が生じる
ポジティブ思考になるための訓練を続けると、他の人に対してネガティブな要素があると感じた場合、あえて距離を置こうとしてしまい、その人との関係を構築することが難しくなってしまうかもしれません。
ポジティブ思考になることは素晴らしいことですが、過剰になると人間関係やコミュニケーションに問題が生じることになります。
なぜなら、ポジティブな人はネガティブな空気や感情を嫌う傾向があるため、他の人のネガティブさを避けようとしてしまうからです。
また、ポジティブな人はネガティブな人に対して、強引に自身のポジティブな思考を押し付けることもあります。
これも周りの人との関係を悪化させる可能性があります。
ポジティブ思考を持つことは素晴らしいことですが、周りの人と円滑な関係を築くためには、適切なバランスを保つことが重要です。
行動が伴わなくなる
ポジティブ思考の人は、夢の実現や目標の達成、明るい未来を思い描くことに多くのエネルギーを注いでいます。
しかし、その結果、実際に行動するための余力が残っていないことが指摘されています。
言葉だけでなく、行動も伴うことが求められる中で、ポジティブ思考の人が行動できないことはよく揶揄されることがあります。
他方で、ポジティブ思考の最大の問題は、行動が伴わないことだと言えるでしょう。
ポジティブ思考の人は、夢や目標を明るく考えることに熱中し、その結果、現実の行動に落とし込むことが難しくなることがあります。
具体的な行動を起こすことが困難になり、結果的に成果を上げることができなくなる可能性があります。
ポジティブ思考には、自信や希望を持ち、前向きな考え方をするといった多くのメリットがありますが、行動しなければ実現は困難です。
バランスを保ちながら、ポジティブな考えを持ちながらも現実的なアクションを起こすことが重要です。
成功を手にするにはポジティブ思考を捨てるべし
先ほど説明したように、ポジティブ思考にはデメリットが存在します。
具体的には、ハンブルク大学のガブリエル・エッティンゲン教授が行った実験で、ポジティブ思考では夢を実現することができないことが証明されました。
ガブリエル教授は、肥満女性を対象に、自分が成功した後の姿をポジティブ思考で空想するチームと、ネガティブ思考で誘惑やダイエットの難しさを空想するチームに分けて、1年間ダイエットを行わせました。
そして、1年後に、2つのチームの減った体重を比較した結果、ネガティブ思考のチームの方がより結果を出していることがわかりました。
このように、ポジティブ思考は夢の実現を遠ざける傾向があると言えます。
実験の結果、ポジティブ思考チームの参加者は、モテない、うつになりやすい、ケガの回復が遅い、大学の成績が悪いといった問題も報告されました。
ガブリエル教授の研究は、世界中の研究者によって検証され、科学的に立証されました。
ガブリエル教授は自著で、「成功するにはポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則」というタイトルで、夢が実現できない理由について以下のように述べています。
夢を見る(理想をイメージする)という行為によって、人は頭のなかでそれを達成してしまう。
そして、現実世界でのトラブルや逆境を乗り越えようとする行動力が低下する。ポジティブな空想にふけると、そのときは楽しくてもやがてエネルギーが枯れる。
やがて無気力になり、計画性なく、衝動的に行動するようになる。そして失敗してしまう。夢を見るだけでなく、さらに夢の実現をさまたげる障害を思い描く。
夢と現実の障害の両方を比べてこそ、行動を起こすエネルギーを得られる。
そうです、ポジティブ思考は、自己妄想の一形態であり、最終的には有害となる可能性があるのです。
ポジティブ思考に固執することは、夢を実現することはできません。
ポジティブ思考に対しては慎重になるべきです。
自然体でいるための学びを続けること
自然体でいるための大切なポイントは、悩みや不安を感じないようにするために、知識を深め続けることです。
ガブリエル教授の研究結果によれば、無理にポジティブ思考になるとうまくいかなくなることが明らかになりました。
例えば、ポジティブ思考に努めるとしても、注意がネガティブな要素に行ってしまうと、逆にネガティブな要素が強調され、ネガティブ思考が強まってしまいます。
そのため、ストレスの対処法としてはポジティブ思考は有効ですが、ビジネスにおいては行動できなくなってしまうことは大きなマイナス要素となります。
もし、あなたがネガティブ思考であったとしても、現実に行動しているのであれば、無理にポジティブ思考になる必要はありません。
ポジティブ思考の人たちが楽しそうにビジネスに取り組んでいるように見えるのは、見かけ上のことであり、本当のところ彼らも悩みや不安を抱えていることが少なくありません。
大切なのは、自然体であり、自分自身を素直に受け入れることです。
無理に思考を変えようとするのではなく、具体的な問題に対して一つひとつ解決策を考え、行動していくことが重要です。
自然体でいるためには、まず学ぶことが必要です。
悩みや不安の大半は知識不足から生まれるものですので、学び続けることが重要です。
学習を重ねることで、悩みや不安を感じないほどの知識を身につけることができます。
どのような問題があるのか、その問題を解決するためにはどのような行動を取ればいいのかを考え、実行することが、問題解決への鍵となります。
自然体でいるためには、まず学ぶこと。
そして、学び続けることで悩みや不安を克服しましょう。
まとめ
ビジネスで成功するためには、必ずしも思考を変える必要はありません。
ガブリエル教授の研究によれば、ポジティブ思考になると過度にエネルギーを浪費し、自己妄想に囚われることで行動できなくなり、逆に成功の妨げになる場合もあることがわかりました。
ですから、自分のありのままを受け入れ、自然な状態でいることが重要です。
そして、現実の問題に対処するためには、徹底した学習と行動が必要です。
ただし、ポジティブ思考を完全に否定する必要はありません。
ポジティブ思考はストレスの対処に役立ち、対処療法として使える場合もあるので、状況に応じてうまく活用することを意識しましょう。